成年後見制度を利用するためには

成年後見制度を利用するための手続きと費用

成年後見制度を利用するにはまず、家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
申立てをすることができるのは本人・配偶者・4親等内の親族(本人から見て、親・祖父母・子・孫・兄弟姉妹・叔父・叔母・甥・姪・従兄弟・配偶者の親と兄弟姉妹など)などですが、任意後見人・任意後見監督人・任意後見受任者(任意後見契約を本人と結んでいるが、まだ本人が後見を必要としていないため後見を開始していない人のこと)、ほかの類型の援助者と検察官などです。「本人の利益のために特に必要がある」場合(身寄りがないなど)は市町村長も申立てを行うことができます。

申立てに必要な書類申立書の他に
申立人の戸籍謄本(本人以外が申立人の場合)
本人の戸籍謄本、戸籍附票、登記事項証明書もしくは登記されていないことの証明書診断書
③後見人などの候補者がある場合はその戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書か登記事項証明書

申立てに要する費用
①申立て手数料・・・800円(収入印紙で)
②郵便代として郵便切手・・・金額は裁判所によって異なるが、だいたい3~4千円ぐらい
③登記手数料・・・4000円(登記印紙という家裁や法務局の売店、郵便局で買える登記関係用の印紙で支払う)
後見と保佐の審判の申立ての場合のみ
④鑑定費用・・・鑑定とは医師が本人の精神状態について調査することです。この鑑定の費用がだいたい10万円以下(5万~10万ぐらいが多いと思われる)で現金で支払います

申立ての後、上記のとおり後見と保佐では鑑定が行われ(補助は鑑定は行われず「成年後見用診断書」を申立書提出時に提出する)、鑑定に平行して家裁調査官が本人と面会して本人の状況・意向の確認、関係者からの事情聴取などの調査を行います。必要に応じて家事審判官が直接審問も行います。

このような手続きを経て家事審判官が後見開始などの可否を判断し、開始の審判であれば同時に後見人等の選任が行われます。ここまでの手続きで早ければ1ヶ月半ほど、長ければ半年ほどかかることもあります。

最も重要なのは医師による鑑定であり、その確保。

成年後見制度をどのように利用したらいいのか

成年後見制度の利用が有効だと思われるのは例えば次のような場合です

◆子供に知的障害などがあり自分たちがいなくなった後が心配なとき
 ⇒成年後見の申立てをして成年後見人に任せる。あるいは子が未成年の場合は親が子を代理して任意後見契約を結ぶということも考えられる。

◆最近心身の衰えが目立ってきたが、身寄りが無く一人暮らしのため介護保険の利用の仕方もわからない
 ⇒本人の意識がはっきりしているなら任意後見契約を利用して任意後見人に必要な代理権を与える。すでに判断力に問題があると思われる場合は法定後見制度の申立てを行う。

◆日常生活では問題は無いが、やや判断力問題があり、浪費や借金をすることがある
 ⇒補助を申立て、特定事項のみ同意権と取消権を付与する。

そのほか夫婦と子供の家族構成の場合に配偶者の一方が死亡し、もう一方が認知症などで自分の意見が表明できないときに後見を申立てて、後見人に認知症の本人の代わりに遺産分割をしてもらう・・・などの場合が考えられます。

成年後見制度を利用する上でのちょっとしたコツと注意点

上記のとおり、手続きにかかる期間はケースによって違うのですが、できるだけ期間を短縮するためのコツについて触れておきます。

まずはじめに「人を確保しておくこと」です。手続きで時間がかかってしまう原因として多いのが鑑定を行う医師が見つからないことです。鑑定は、本人の主治医にお願いできるのならばお願いして確保しておくのをおすすめします。また、裁判所に申立てを行うときに後見人などの候補も一緒に行くとその後の手続きの迅速化につながるので、候補者探しも早めに行いましょう。

次にやっておくべきなのは親族間の意思の疎通をはかっておくことです。後見などを行うこと、あるいは後見人の人選などについて親族間でもめたりするのも時間がかかる主要な原因だからです。

注意事項ですが、たとえば補助の審判を申立てていたときに本人の痴呆症状が悪化し、後見相当になったとしても、そのままでは家庭裁判所は後見の審判に移行してくれないということです。当然のことですが後見相当である場合に補助の開始の決定が下ることはありません。この場合、補助の審判を取り下げて後見の審判を申立てる必要があります。
また、申立ての費用は申立人の負担になります(本人に負担させることは原則としてできない)。

事前準備をしっかり行えば手続きがスムーズで、時間短縮につながる。

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