こんなにある悪徳商法1

ここではいくつかの代表的な悪徳商法について、その説明と対策について書いていきます。(※)

※悪徳商法はここに書かれているものに尽きるわけではありません

資格商法

資格商法とは「受講するだけで資格が取れる」「いずれ国家資格になって必要なスキルになる」などといって国家資格から民間資格、果ては架空の資格にいたるまで市価よりもはるかに高額で受講するように(高額であることはうまく騙す)しつこく電話をかけて勧誘し、強引に契約を結ばせるものです。社会人に被害が多いのが特徴で、過去に被害にあった人が二次被害にあうことが多いのもこの商法の特徴です。

<その対策は>
まず、電話がかかってきたら相手の話にまったく付き合わないようにして、即座かつはっきりと「いりません」「お断りします」といったような誰にでもわかる明確な断り方をすることです。ちょっとでもあいまいな言い方をすると、すぐに付け込んできます。
契約させられてしまった場合は、電話勧誘販売にあたるのでクーリングオフが可能です(期間は契約書面の交付から8日、クーリングオフについて記載した法定の契約書面を交付していなければいつでもクーリングオフ可能)。クーリングオフ妨害もかなり多いので、「クーリングオフできない」などの業者の嘘にはつきあわず、早めにクーリングオフすることです。
クーリングオフができなくなった場合でも、特定商取引法による不実告知を理由とした契約取消、消費者契約法による不実告知を理由とした取消しなどが可能であると思われます。

キャッチセールス

キャッチセールスとは路上や街頭で人を呼び止めて、「アンケートに答えてください」「ただいまキャンペーン実施中です」などといって話しかけて、喫茶店や営業所に連れ込んで長時間勧誘した挙句、化粧品などの高額商品を買わせる、あるいは何かの会員に入らせたりします。話しかける際には商品などの販売目的を隠していることがほとんどであることが特徴です。
その目的は多様で、化粧品・エステなどが最も多く、その他に着物・絵画・会員権などいろいろあります。

<その対策は>
このような販売目的を隠して勧誘行為を行うキャッチセールスは、特定商取引法で明文で禁止され、刑事罰がある法律違反行為です。
クーリングオフ制度の説明で書いたように、通常は店舗・営業所での購入商品はクーリングオフの対象となりませんが、店舗・営業所以外で呼び止めて店舗・営業所に連れ込んで契約させた場合、訪問販売に該当し、クーリングオフが可能、つまりキャッチセールスと、後に紹介するアポイントメントセールスについては店舗・営業所でした契約であってもクーリングオフできるのです。
クーリングオフは特定商取引法の規定により指定された指定商品・権利・役務について、契約書面の交付から8日、クーリングオフについて記載した法定の契約書面を交付していなければいつでもクーリングオフ可能です。
クーリングオフができなくなった場合でも、特定商取引法による不実告知を理由とした契約取消、消費者契約法による不実告知、あるいは退去妨害などを理由とした取消しなどが可能であると思われます。

ネガティブ・オプション

ネガティブ・オプションとは注文していない商品を郵便や宅配便で送りつけ、代金を請求するというものです。 「~までに返品しなければ購入したことになる」とか「受け取っておいて支払わないなら詐欺として訴える」などと書かれた文面などを同封し、消費者を困惑させて代金を支払わせようとします。

<その対策は>
自分が注文していないものを引き取る義務も、お金を払う義務もありません。送られてきたものに対して注文も承諾もしていないので、売買契約が成立していないからです。
もし、身に覚えのない物が送られてきた場合は受け取りを拒否しましょう。
受け取ってしまった場合についても、「~までに返品しなければ購入したことになる」などと業者が書いていても、業者が勝手に書いているだけで、購入したことになどなりませんし、商品を返送する義務もありません。もちろん詐欺になど、なるはずもありません。
ただし、送られてきた商品を使用したり処分したりすると売買を承諾するものとみなされてしまうので(これは業者の言い分でなく契約の一般原理)、使用・処分はしないでください。
とはいえこれも一定期間だけのことで、商品受領から14日、あるいは業者に引取りを請求してから7日経過すれば特定商取引法の規定でお金を払わなくても自由に処分できるようになります。

やっかいなのは代金引換で送ってきた場合です。
宛名の本人が配達人の応対に出た場合は身に覚えがないので受け取りを拒否できるのですが、本人以外の家族が応対した場合、注文したかどうかわからないので代金を支払ってしまうことが多いのです。
この場合、一応売買契約承諾の意思表示がないことを理由に、代金の返還の請求ができないわけではありませんが、かなり難しいといえます。また、クーリングオフの適用もありません。
代金引換で何かを注文したときは、必ず家族にいつごろ到着するか伝えるようにして、それ以外の代金引換については受け取らないように家族に言っておくなどのことをして被害を防止するようにしましょう。

催眠商法

催眠商法とは安売り・無料配布などをうたったチラシなどで会場に人を集めて、集まった人に「○○を無料でプレゼント!欲しい人は手を挙げて!」などと言いながら次々に商品を配ったり、異様に安い値段で売りさばき、会場を興奮状態にして消費者が雰囲気に呑まれて冷静な判断ができなくなったところで「本日の目玉!最高級○○が通常50万円のところ30万円!欲しい人は手を挙げて!」と本題の羽毛布団や磁気枕などの高額商品を売りつける商法です。

<その対策は>
催眠商法の手口は特定商取引法の訪問販売に該当します。催眠商法の会場は店舗・営業所にはあたりません。したがってクーリングオフは特定商取引法の規定により指定された指定商品・権利・役務について、契約書面の交付から8日、クーリングオフについて記載した法定の契約書面を交付していなければいつでもクーリングオフ可能です。
クーリングオフができなくなった場合でも、消費者契約法による不実告知、あるいは業者が消費者が帰ろうとするのを妨害した場合、退去妨害などを理由とした取消しなどが可能であると思われます。

モニター商法

モニター商法とは「モニター会員になれば毎月モニター料を払う。だから実質タダ」「モニターになれば一般より安く購入できてお得」などといって高額商品を購入させるものです。
商品の感想やアンケートに答えればモニター料が支払われ、市価よりも安く商品を手に入れられるというのが業者の売り文句ですが、実際ははじめのうちこそモニター料金が支払われます(はじめからまったく支払われないケースもある)がそのうち支払われなくなり、代金の支払いだけが残るというのが典型的なパターンです。

<その対策は>
モニター商法は①商品の感想やアンケートに答えればモニター料が支払われる、②高額商品を購入する、というところから業務提供誘引販売取引に該当し、クーリングオフが可能です。クーリングオフの期間は契約書面の交付から20日で、商品・権利・役務の指定はなく、すべてクーリングオフができます。クーリングオフについて記載した法定の契約書面を交付していなければいつでもクーリングオフ可能です。
クーリングオフができなくなった場合でも、特定商取引法による不実告知、故意による事実不告知を理由とした契約取消が可能であると思われます。
また、モニター料の不払いを理由に債務不履行による解除も考えられます。 また、モニター商法はクレジット契約を伴うことが多いので、クーリングオフ行使時には忘れずにクレジット会社に支払停止の抗弁を出しておきましょう。

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