人身事故

人身事故の損害賠償について

死亡事故時の損害賠償の範囲

1.医療関係費用
死亡までの治療費・入院費等
2.慰謝料
慰謝料とは精神的損害に対する賠償、つまり被害者が受けた苦痛などに対する賠償です。
被害者本人の慰謝料はもちろん認められますが、遺族の慰謝料は認められるとは限りません。
3.葬儀関係費用
4.逸失利益
被害者が生存していれば得られたであろう収入。
被害者が生存していたら必要となる生活費と中間利息は控除される(*)。
*中間利息の控除・・・賠償金は何十年か先の分も一括で受け取るため、受け取った賠償金を銀行などに預金すると利息分受け取った側が余分に利益を得ることになる。これを是正するためにあらかじめ利息分の金額を賠償額から引いておくのが中間利息の控除。
5.その他

傷害事故時(後遺障害なし)の損害賠償の範囲

1.医療関係費用
治療費・入院費・入通院交通費・付添看護費・入通院雑費等
2.慰謝料
入通院慰謝料
3.休業損害
傷害による入通院で就業できなかったために得られなかった収入
4.その他

傷害事故時(後遺障害あり)の損害賠償の範囲

1.医療関係費用
治療費・入院費・入通院交通費・付添看護費・入通院雑費等
2.慰謝料
入通院慰謝料・後遺障害慰謝料
3.休業損害
傷害による入通院で就業できなかったために得られなかった収入
4.後遺障害による逸失利益
後遺障害によって労働能力の喪失(100%~5%)があった場合にその喪失率に応じて支払われる。
5.その他

自賠責保険での賠償金額

自賠責保険については自賠責の基準で支払われます。弁護士会基準については赤い本・青い本参照。

傷害事故の賠償金額

1.医療関係費用
実費(実際にかかった金額)が限度額の範囲内で支払われます。温泉療養なども医師が認めたもの(温泉旅行ではなくあくまでも治療として有効と認められたもの)については認められます。
2.看護料
近親者が入通院看護をした場合、入院看護で一日あたり4100円、通院で2050円が支払われます。ただし、医師の証明書が必要です。
3.付添費
12歳以下の自動や歩行困難者の通院に付き添ったとき、または医師の指示で自宅看護をしたときは1日2050円が支払われます。
4.入院雑費
入院一日あたり1100円が支払われます。
5.休業損害
一日5700円が基本ですが、それ以上の額であることを休業損害証明書と源泉徴収票等で証明すれば、一日19000円まで支払われます。
学生については、アルバイトで月に一定以上の割合で働いている場合は認められます。無職者についても失業して間がなく、就職活動中である場合は認められることがあります。
6.傷害入通院慰謝料
一日4200円(定額)が支払われます。
7.後遺障害による逸失利益
後遺障害がある場合、その等級によって (収入額×労働能力喪失率)×ライプニッツ係数(*)
*先述の中間利息を控除するための係数
8.後遺障害慰謝料
介護を要しない場合は障害等級により32~1100万円(*)
介護を要する場合は障害等級により1163~1600万円と初期費用205~500万円(*)
*障害等級1~3級の場合で被扶養者がいる場合、慰謝料が増額される

死亡事故の賠償金額

1.葬祭費
60万円。ただし立証によって100万円まで
2.死亡による逸失利益
(収入額-本人生活費)×ライプニッツ係数
3.死亡者本人の慰謝料
350万円
4.遺族の慰謝料
1名550万円、2名650万円、3名750万円。被扶養者がいるときは200万円を加算。
5.死亡までの医療関係費用
実費(実際にかかった金額)が限度額の範囲内で支払われます。

自賠責保険の請求の仕方

加害者請求
加害者が請求する場合、被害者に賠償金を支払っていることが必要です。
被害者に賠償金を支払った後、保険会社備え付けの所定の用紙とその他の必要書類で保険会社に請求します。
ただ、大抵の場合、加害者加入の任意保険会社が出てくるので、この方法が利用されることは少ないようです。

被害者請求
自賠責保険は被害者から加害者の自賠責保険に請求可能です。
また、加害者が任意保険に加入しておらず、示談で賠償金を払う様子も見えないときは被害者側で手続きを進める必要が出てきます。

被害者請求には
本請求・・・損害額確定後に損害のすべてを請求する
仮渡金・・・傷害によって仕事にもいけず治療費や当面の生活に困るときに請求できる。請求は一回限りで傷害の状態によって上限が5・20・40万円となる。賠償額確定時に仮渡金のほうが賠償額より多いときは返還しなければならない。
内払金・・・治療中などで損害額が決まらないとき、損害額が10万円を超えるごとに10万円ずつ請求できる。
の3種類があります

被害者請求の場合は保険会社備え付けの請求用紙と交通事故証明書他の必要書類を集め、請求用紙の所定の事項に記入の上、加害者加入の保険会社に請求します。
保険会社に提出した書類は損害保険料率算定機構というところに送られ、そこで書類審査などが行われ、後遺障害等級や支払額について保険会社に調査報告書が送付され、支払額が決定します。
損害保険料率算定機構の審査結果に不服がある場合は異議申し立てができます。
この異議申し立てには回数の制限がありません。後遺障害等級や支払額について納得いかない場合は何度も行うべきでしょう。

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