クーリングオフできないときは
中途解約権とは
クーリングオフ期間が過ぎ、交付書面にも問題がなく、クーリングオフ妨害も無い場合、クーリングオフを行うことはできませんが、契約を解除してお金を返してもらう、あるいはこれ以上の支払いをストップする方法が無いわけではありません。
まず、エステ・語学教室などの特定継続的役務提供契約についてはクーリングオフ期間経過後であっても中途解約権を行使して解約することができます。
中途解約権は契約期間中であれば、理由を問わずに行使できます。
しかし、消費者がすでに業者のサービスを受けている場合、そのサービスの対価としての正当な分の支払いは拒むことができません。
また、損害賠償額の予定もしくは違約金の約定がある場合、特定商取引法の定める上限までは支払わなくてはなりません。このあたりがクーリングオフとは違う点です。
また、連鎖販売取引(いわゆるねずみ講などのマルチ・マルチまがい商法のこと)にも中途解約制度があります。特定継続的役務提供契約についてのものとはやや異なり、入会後1年以内の退会に関する規定、というようになっていますが、損害賠償額の予定もしくは違約金の約定に関する上限を設けているなど、契約後1年以内の中途解約を認めている制度といえます。
クーリングオフ・中途解約権が使えないときは
消費者契約法による取消し、特定商取引法による契約取消権、民法の錯誤による無効、詐欺による取消しなどがあります。
まず消費者契約法による取消しですが
- 消費者に対して重要事項について事実と違うことを告げる
- 将来どうなるかわからないことについて、確実であると決めつけた判断を提供する
- 消費者に対して都合のいい事実だけを告げ、都合の悪い事実を告げないようにする
- 消費者が帰るように求めているのに帰らない、あるいは消費者が帰ろうとしているのにそれを邪魔して帰さないなどして、消費者が精神的に自由な判断がしにくい状況におく
などのことをして消費者を誤認させ、契約を結ばせた場合、契約を取り消すことができます。
契約を取消すことができる期間は、取消しの原因である状況が止んだとき(1の場合事実と違うことに気づいたとき、4の場合業者が帰った、あるいは業者から開放されたとき)から6箇月、契約締結時から5年です。
次に特定商取引法による契約取消権ですが
訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供契約、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引について契約に関する重要な事項について、事実と違うことを消費者に告げたり、わざとある事実について消費者に告げなかったりして消費者を誤認させて契約を締結した場合、消費者は取消しの原因である状況が止んだとき(業者の説明が事実と違うことに気づいたときなど)から6箇月、契約締結時から5年契約を取消すことができます。
民法95条の錯誤(勘違いのこと)による無効、96条の詐欺による取消しも、場合によっては主張することができます。
ただ、これらの制度は守備範囲そのものはクーリングオフや中途解約権よりもひろいといえるものが多いのですが、ほぼ無条件での解約を認め、利用しやすいクーリングオフと中途解約権に比べると、条件が厳しい上に専門家でないと悪徳業者に対する行使の仕方もわかりにくいものです。
そのため、まずクーリングオフ・中途解約権が利用できないかを考え、できない場合にはじめてこれらの制度の利用を考えるべきです。
そしてこれらの制度の利用をするときは、まず消費者センターなどの専門家に相談する、といったようにすることをおすすめします。